メタル

世界と戦える名盤! NEMOPHILA 2ndアルバム 「 Seize the Fate 」レビュー

こんにちは!!
メタラー歴8年のメタキノと申します。

今回は、NEMOPHILAの2ndアルバム「Seize the Fate」が2022年12月14日に発売されましたので、レビューしていきます。

NEMOPHILAは、私が2023年で一番注目している日本のガールズメタルバンドです。

1stアルバムが既に世界と戦える名盤だったのですが、2ndアルバムもNEMOPHILAらしさをたくさん盛り込みつつも、日本芸能の「能」を取り入れるなど新しい一面が見られ、さらにパワーアップしたアルバムとなっています。

アルバム全体の流れも非常に素晴らしく、序盤は今までのNEMOPHILAの流れを汲んだ曲を持ってくることでファンを安心させ、中盤で新しくチャレンジする曲で驚かせ、終盤では再びNEMOPHILAらしい曲をもってきて、しっかり締めるといった内容になっています。

アルバム発売日に配信された全曲視聴会にも参加し、メンバーのアルバム作成に関わる裏話も聞いてきたので、あわせてご紹介します。



過去のNEMOPHILAの記事はこちら
Seize the Fateのワンマンライブツアー(岡山公演)の記事はこちら

それでは早速1曲目からレビューしていきます。

 Seize the Fate

アルバムのタイトルにもなっている曲で、曲名を和訳すると「運命を掴む」となります。

歌詞も「過去を振り返らず突き進む」、「誰も届かない世界へと」などが盛り込まれており、自分の信じる道を突き進んで運命を掴むという、強い意志が感じられる、アルバムの1曲目としてふさわしい力強い曲になっています。

イントロはOne Ok Rockの「完全感覚Dreamer」のような軽快なドラムソロから、ゴリゴリの重低音が入り、ボーカルのグロウル、超絶ギターと続くという、メタラーが好きな要素を詰め込みまっくた、メタラーの心を一瞬で掴むイントロになっています。

メタルの曲でイントロから「Yeaaaaaaahhh!!!」みたいなグロウルの入り方をする曲は良い曲多い気がしますね。テンション爆上げです!!

その後も、今までのNEMOPHILAを感じさせる重低音メインだけど、非常にノリのいいリズムを刻みながら進み、後半はベースソロからのギターソロで最高潮へ持っていき、そのままの勢いで最後まで突っ走ります。

注目してほしいのは全楽器のソロパートがあるということと、2分6秒からのベースソロからギターソロの部分ですね。
ソロパートからのラストスパートが本当に熱いです!!

最高な出だしから、勢いのまま最後まで突っ走るという、まさにアルバム1曲目の最適な曲でした。

実はイントロのドコドコの部分は、収録の3日前に変更になったらしいですし、ギターもどんどん速弾きを要求されて限界まで速くしたようです。

 炎天-ENTEN-

2曲目の「炎天-ENTEN-」が2ndアルバム「Seize the Fate」の中で一番注目された曲でしょう。
日本芸能の「能」をメタルに取り入れたという斬新すぎる曲となっています。

私は能について全く知らなかったのですが、そもそも能とは、1300年代から続く日本芸能であり、謡(歌)と囃子(楽器)を使って演じられる音楽劇のようです。

演者の多くがお面をかぶっており、話の台本も和歌や源氏物語などから引用しているものが多く、洗練された日本の文化が楽しめるようです。

能はとてもゆっくりした特徴的な発声を使用するので、メタルとの親和性は無いように感じますが、NEMOPHILAは能の迫力と和楽器の温かい音、メタルの激しさと情熱をマッチさせるという、能とメタルのお互いの良さを引き出した傑作を作り上げました。

まず注目したいのが、演奏に三味線と和太鼓を使用していることです。
三味線はかなり速弾きすることで、メタルの曲調を崩さず、曲に良いアクセントを加えています。
和太鼓はドラムとは違う温かみのあるリズムを刻み、曲にまとまりを与えます。

さらに、ギターのsakiさんの知人で能楽師の人が、実際に能で演じるような発声でコーラス?を行っているのも「能」を感じさせます。

歌詞についても、全体的に古文で使うような用語が散りばめられていたり、歌詞の単語も7音と5音で構成されているのも和歌や短歌などを意識しているのかもしれません。

様々なところに能を感じさせる工夫があり、見事にメタルと調和していますね。

「炎天-ENTEN-」は1stアルバムに収録されている「雷霆-RAITEI-」と似たタイトルとなっているので、今後も似たタイトルの曲が出てくるかもしれませんね。

 ZEN

次の曲は、能とメタルを融合させた曲に続き、「禅」とメタルを融合させた曲が登場します。
メタルでメディテーション(瞑想)するイメージで作られた曲のようで、新しいチャレンジが続いてワクワクしますね!!

曲の内容としてはしっかりとメタルの曲調になっているのですが、ギターリフがとても低い音で、どこか落ち着く音で表現されているため、メタルを聞きながら瞑想している気分になれる不思議な曲になっています。

歌詞も「自分の夢は何か?」、「愛とは何か?」、といったような、日常でふと思いつくような問いかけで構成されており、瞑想を連想させます。

アルバム発売当日に公開された全曲視聴会では、海外の方も多くコメントされており、「サメがいっぱいいるプールの中で瞑想するような曲」というコメントがこの曲をうまく表していると思います。

「禅」というのは海外でも結構知名度があるらしく、歌詞も全て英語で構成されていることから、海外への認知度を高めようとしているとも考えられます。

曲の最後では、ベースのハラグチサンが「ハイ!!」って言うところがあるのですが、このタイミングで深い瞑想から目覚めるというのを表現しているのかなと思いました。

メタルと禅についても、お互いの良さを見事に表現できている素晴らしい曲でした。

ハラグチサンが「ハイ!!」っていうだけの動画が、アルバム公開前にYoutubeに上がっており、どこで使用されているのか楽しみにしていたのですが、動画の締めに使われるとは思っていませんでした。

 Back into the wild

4曲目は「Back into the wild」です。
この曲から1~3曲目の流れと違った展開になります。

曲のテーマは「戦い」とか「鋼鉄感」らしく、漫画の「北斗の拳」のような砂漠の中で屍の山を築いて歩いているイメージのようです。

歌詞も「生きるも死ぬも自分次第」や、「世界の崩壊を防ぐ」みたいな歌詞があることから、砂漠を進みながら戦っていく戦士みたいな情景が浮かびます。

全曲視聴会のメンバーの話で、ドラムのむらたたむさんの旦那さんがギターを担当していたり、コーラスも英語の監修をされている方が担当していたようです。

先述した「ZEN」でもギターのsakiさんの知り合いの方が参加されていたりと、ジャケットもsakiさんの弟さんがやられていたりと、結構身内で作られているアルバムのようです。

 Rock’n Roll Is?

5曲目は「Rock’n Roll IS?」です。
タイトルの通りロックな曲になっています。

NEMOPHILAの曲なので、ロックにしては重低音モリモリの曲になっていますが、しっかりとロックな曲に仕上がっています。
ギターソロとか思いっきりロックを感じますね。

カバー曲ではロックも結構やっていましたが、純粋なNEMOPHILAの曲としてのロックは新鮮です。
ロックでもしっかりとNEMOPHILAの曲と分かるような、NEMOPHILAらしさがしっかり出ているのが良いですね。

歌詞については、海外のアーティスト歌詞がいろいろ入っているそうなのですが、私は全く分かりませんでした。
どのバンドの歌詞か分かる人がいたら教えていただきたいです。

 STYLE

続いてはメタル+ラップな曲が登場します。

私はラップ調な曲というと、なぜか苦手でほとんど聞かないのですが、この曲は聴けてしまいます。メタルと非常に合っているラップになっているからでしょうか。

物凄い速さの英語の歌詞を歌うmayuさん凄すぎますね。
本人曰く「本当に地獄だった」とのことらしいです。
普通のラッパーでもやらない速さらしいので、mayuさんの練習量がうかがえます。

歌詞も今までの流れと同様に、自分の中で輝けるものを探し、自分のスタイルを貫け!!というような感じでメッセージ性の強い内容になっています。

PVではラッパースタイルな衣装で茶室でお茶を飲んでいたりと、普通ではありえない状況がありますが、これも価値観などは人によって様々なので、自分のスタイルを貫くということを表現しているかもしれません。

 Waiting for you

このアルバムの名中で一番ポップで可愛い曲です。

しかし、メンバー曰くこの曲が一番演奏が大変らしいです。
歌詞も単語が詰まっているため、歌うのも難しく、POPの皮をかぶったデスメタルみたいな内容になっているそうです。
ちゃんと聞いてみると、物凄く早い刻みがあって演奏が難しそうです。

曲調と同じく歌詞もとても明るいものとなっており、一緒にいるよっていうメッセージが伝わってきます。
ボーカルのmayuさんや、ドラムのむらたたむさんのお子さんの将来を案じた曲なんでしょうか?

聴いていると、とても元気が出る曲です。
歌詞の中に「NEMOPHILA」と入っているのも面白いですね。

 now I here

次はバラードのような曲となっています。
アルバムも終盤になってきている雰囲気が漂ってきますね。

バラード調でもしっかりと低音は響き、ギターソロもとてもかっこいいので、しっかりとNEMOPHILAの曲だと感じます。

曲の中で「偽物で構わないからと」というフレーズあるんですが、ここのmayuさんの歌声が素敵すぎます。
何回聴いてもここで涙が出そうになってきます。
とても綺麗な高音を聞くと涙が出ることがあるのですが、私だけでしょうか。

全曲視聴会では、曲名紹介時にハラグチサンの謎ポーズが披露されました。
ライブでこの曲をやるときには、謎ポーズが恒例になったら面白そうですね。

ところで、曲名が「now I’m here」と1文字目が大文字ではないのは何故でしょうか。
歌詞の直前にある「So」が省略されているので、この歌詞が出てくる前の過程に、あえて注目させるための表現だったりするんでしょうか。

 A Ray Of Light

バラードのような曲から一転して、アルバム序盤のような、まさにNEMOPHILAの真骨頂というようなゴリゴリのメタルな曲が続きます。

明らかにギアが変わり、ここからラストスパートです。

PVも最初はとても暗い背景の中で撮影しているのですが、曲が進むにつれて明るくなっていく演出が、曲名の一筋の光を感じさせるので、非常にエモイです!!

デスボイスとクリーンボイスの対比もとても美しく、ここでも光と影を感じ、一筋の光が強調される気がします。

全曲視聴会でのメンバーの話を聞いて初めて知りましたが、この曲は3分7秒しかないそうです。事前にYoutubeでMVがアップされていたので何度も聞きましたが、そんなこと一回も感じなかったほど濃い内容になっています。

 徒花-ADABANA-

次の曲は「徒花-ADABANA-」です。
「徒花(あだばな)」とは、花が咲いても実を結ばずに散る花のことを指すようです。

「咲かせ続けろその花を」、「哀れな徒花のようでもいいさ」、「僕らは美しいと」という流れの歌詞は、哀れに見えても花が咲いている限り美しいと、とても勇気が出る歌詞となっています。

「A Ray Of Light」でラストスパートに入り、この曲でも、あと少しでアルバムが終わってしまうという哀愁を漂わせてくれます。

1stアルバムには「鬼灯」という曲があり、こちらも花が関連する曲名になっています。
ネモフィラも花の名前のため、これからも花に関連する曲が出てくるかもしれません。

 Soaring ~to be continued

2ndアルバム最後の曲は「Soaring ~to be continued~」です。
この曲は歌詞がなく、楽器の演奏のみとなっています。

曲が始まってすぐに、「この曲で最後なんだ」と思わせられる、まさにエンディングにふさわしい曲となっています。

ゆったりした入りのため、今まで突っ走ってきたのを振り返るような、余韻に浸れる感じがあり、どこかこのまま終わってほしくないような哀愁さを感じさせます。

曲の後半部分でのツインギターがとてもよく、余韻に浸りながらも再び熱くなり、熱くなったまま綺麗に締めるため、後を引くようなこともなく完全燃焼してしまいます。

全曲視聴会では生演奏は今後ないのではないかという話でしたが、2023年1月9日のワンマンライブ岡山公演では演奏されましたので、今後も聞く機会があるのではないかと思います。

エンディング曲としてこの曲以外ないと思うほど完成度の高いものになっているので、ライブは毎回この曲で締めてほしいと思います。

曲名の「Soaring」は(空に)舞い上がるという意味らしく、to be continued という意味も併せて今後のNEMOPHILAが上昇し続けるのを願っての曲なのかと思います。

まとめ

NEMOPHILAの2ndアルバムは、1stアルバムに続き、世界と戦える名盤となっていました。

NEMOPHILAの曲は、2ndアルバムまでの曲だけでも良い曲が多すぎるため、ライブのセットリストをどう組んでも名演になってしまうのではないかと思います。

こんな素晴らしいバンドは他にないと思うので、これからの活躍に期待し、ライブなどがあれば積極的に参加したいと思います。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。